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深層学習を用いた陽子線予測線量分布計算の高精度化・効率化
 

 スキャニング法を用いた陽子線治療では、線量分布を最適化することで強度変調陽子線治療を実現できます。この手法では標的へ線量を集中させながら周辺臓器の線量を最小化できるため、最先端の放射線治療技術の1つです。

 複雑な治療計画で精度の高い治療を行うためにはモンテカルロ法による最適化を必要としますが、これには多くの時間を必要とするため臨床現場では負担が大きい部分となります。

 この課題を解決するために、深層学習を用いた予測線量分布の研究開発が注目されています。深層学習とはたくさんの正解データからコンピュータ自身が学習し、入力データから正解に近い出力データを提供することができる技術です。

 本研究では、陽子線治療と深層学習を組み合わせて、陽子線線量分布を高精度かつ短時間で予測するプログラムを開発し、適応陽子線治療や回転強度陽子線治療の実現に向けたツール開発を行います。

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深層学習と照射記録を組み合わせた
推定陽子線線量分布のモデル化

 

 スキャニング法を用いた陽子線ビームはペンシルビームを電磁石の制御によって、照射すべき位置に対して高速スキャンすることで理想的な線量分布を実現できます。しかし、この照射位置は計画位置からズレが生じやすく、計画の線量分布を変化させます。

 この影響を評価するために、治療前の品質管理として治療ビームを測定することで安全な陽子線治療が実施できています。陽子線治療装置では照射後に照射位置と強度の情報を持つ照射記録(ログファイル)を記録するツールを備えています。

 私たちはこの照射記録を用いて線量分布を再構成するツールを開発し、推定陽子線線量分布を可視化する研究を実施してきました。このツールをさらに応用するために、深層学習との組み合わせを行い、照射記録を取得しなくても推定陽子線線量分布を予測する深層学習モデルを開発します。このモデルは適応陽子線治療を含む多くの陽子線治療運用に応用することが期待できます。

© Akihiro Haga Laboratory. All rights reserved

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